離婚協議書の作成を専門家へ依頼するメリット

慰謝料ゼロの代わりに養育費をたくさん、は危険

『離婚協議書の作成を専門家に頼むメリットはなんですか?』とたまに質問されます。もちろん、専門家に頼まなくてもご自身で離婚協議書を作成することができます。現在はインターネットが発達していて、サンプルや見本の情報が容易に手に入ります。そこで、専門家に頼んだ方がいいかも…と思うようなエピソードをご紹介します。

例えば、離婚するご主人から『慰謝料という形では払いたくない。いつか、子供がこの紙を見たときに悲しむかもしれないから。養育費は5万円と約束したが、慰謝料の分割払いの5万円も加算して、月に10万円、養育費として支払うという内容にしたい。』と言われたとします。

そんなに理不尽なことではないし、それでもいいかな?と思うかもしれません。しかし、これはとっても損をするかもしれませんです。

養育費が高額になるほど、児童扶養手当が減額されてしまう

シングルマザー(ファザー)に支給される児童扶養手当。所得に応じて、最大で月に約4万2000円が支給されます。が、ここで気をつけて欲しいのが、「養育費の8割は所得として計算される」ということです。仮に所得(控除後の所得)が100万円で養育費が月5万円の場合、月に約2万5000円の児童扶養手当が支給されます。しかし、養育費が月に10万円の場合、児童扶養手当は1万6000円/月となり、年間で約10万円も少なく なってしまいます離婚協議書に記載する名目次第で、こんなトラブルが起こるかもしれません。※単純に名目だけで決まるわけではありませんが。

養育費はその金額が絶対に貰えるわけではない

養育費は、公正証書にしても、調停にしても、裁判にしても、絶対にその金額が最後まで貰える、とは言えません。養育費は、生きている父親が子供を(平等に)扶養するためのお金です。つまり、父親が亡くなったり、事情により働けなくなった場合は、手続きをすればどんなに公正証書や裁判などで慰謝料の金額を決めても、その金額が減額されてしまう可能性があるのです。

ただ、そんな確率は低いので、あまり気にならないかもしれません。では、ご主人が再婚し、新たに子供ができた場合はどうでしょうか?父親の給料が30万円/月で、独身であれば、離婚した妻が育てる子供に毎月10万円を支払えるかもしれません。しかし、再婚し、新たに子供が産まれた場合はどうでしょう?本来、二人の子供は同等レベルの生活が送れることが望ましいのです。もっと分かりやすく書くと、父親(元夫)が5人の子供がいる女性と再婚し、扶養することになったとします。前妻との子供は月に10万円で暮らし、後妻と父親と子供5人で20万円で暮らすと考えると、不公平ですよね。このような場合も、公正証書などで取り決めた養育費を減額するように請求することができます。

つまり、養育費は状況に応じて減額されてしまう可能性があるのです。札幌市の場合、離婚した男性の2人に1人が再婚するというデータがあります。約束していた養育費が(全額)貰えなくなった、という話は珍しくないのです。

※こうしたネガティブな情報って専門家のサイトであまり見かけないですよね。『公正証書にしたら強制執行できる』とはどこでも書いていますけど…。

一度、作成した離婚協議書の内容を変更するのは難しい可能性も

稀に、自分たちで作成した離婚協議書の内容を変更したい、という相談もありますが、双方の同意がなければ難しいそうです。離婚のときは、『早く離婚したいので、なにも要らない!』と思い、不利な離婚協議書や覚書にサインしてしまうことがあります。ただ、それは場合によってはとても危険ですので、注意が必要です。後悔しないよう、専門家へ相談しましょう。

よくある微妙な項目

上記の他にも、自分で作成し、間違いとはいえないまでも、微妙な項目を見かけます。離婚協議書は、「作成すること」が目的ではなく、「約束を守らせること」「約束を守って貰えないときに、どうするか」を決めることが、最も重要なのです。ここでは、実際に見たことのある、自分で作った離婚協議書の失敗例などをご紹介します。

【養育費の金額】

・父親の収入の◯%
→ 父親の収入は、どうやって知るの?本人が、今月から給料は10万円です!と言ったら、それで納得するの?給料明細や源泉徴収を見せるとは思えないが。

・養育費は月に◯万円とする。ただし、父親の経済状況で増減する。
→ 父親が、今月はお金ない!と言ったら、ゼロ円になってもいいの?ちなみにそういう人は、お金に余裕があったらたくさん払うから!と言って、払わない。

【養育費の払い方】

・毎月、面会時に支払う
→ 子供が体調不良で面会できなかったら、養育費は受け取れないの?

・書いていない
→ 本人は、毎月、手渡しのつもりかも。毎月、ATMで振り込む、というのもオススメしない。忘れたり、遅れたり、勝手な事情で安くされることが多い。

【養育費の時期】

・子供が高校卒業までは支払う。その後は卒業までに協議する。
→ 子供が一生懸命に勉強しても、協議の結果、「お金ない。就職しろ」となる可能性がある。協議する、は約束しないことに等しい。

【退職金】
・退職金の◯%を支払う
→ その金額は、どうやって知るの?懲戒免職になった場合はどうするの?

【再婚】
・母親が再婚したら、養育費は払わない
→子供と再婚相手が養子縁組しなくても、払われないの?
→籍さえ入れなかったら、年収3000万円の男性と一緒に暮らしてても養育費を払うの?
→そもそも、再婚したことをどうやって知るの?

【面会】
・月に◯回、父親の希望したときに面会できる
→子供の都合は無視?

【保険】
・父親は生命保険を解約しない
→ 解約したらどうなるの?解約したことを知る方法はあるの?いつまで?

などなど、トラブルの元になりそうな条項が書かれているケースは珍しくありません。この他にも、たくさんあります。

子供がいない場合などは、ご自身で作成されてもあまり影響はないのかもしれません。お子さんがいる場合は、あとでトラブルにならないよう、専門家へ依頼することをオススメします。

まとめ

このように、離婚協議書とは単に書くだけではなく、知らないと損をすることがたくさんあります。他にも、面会に関することなど、本当にたくさんの知っておくべきことがあります。当事務所は特に、『子供の幸せを最優先に考える離婚』を理念とし、お子さんの生活、進学、父親との関係を最大限、考慮したご提案をしています。もちろん、上に書いたようなリスクについてもご説明しています。

養育費5万円/月を20年受け取った場合、合計で1200万円になります。他にも、高校や大学の進学費用を元夫が負担してくれるなら、それ以上の援助となります。子育てには本当にお金がかかります。慰謝料の金額で揉めて険悪になるより、離婚しても元夫から養育費や進学費用をしっかり受け取ることの関係を築くほうが、長い目で考えるとよほどお得なのです。

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